近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

跡継ぎどうする?

そういうタイトルのイベントを昨日やってきました。

(主催はまちごと総研のまっくすです。いつもありがとうございます)

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最初は10人位でぺちゃくちゃお菓子でも食べながら、

茶話会的なイメージで請けていたのですが、

あれよあれよと言うまに約30人の参加者に。

主催者の集客パワーもさることながら、

跡継ぎというテーマの注目度がそれだけあがっている証拠ですよね。

参加者は既に継いでいる人もいれば、これからの人もという感じでした。

とにかくすごい熱気でした。

話を聞いてほしい!(僕含め)という空気がすごかった。

 

それで、思ったんですけどやっぱり時代が完全に次のステージに変わりましたね。

ぼくがモヤモヤ悩んでいる頃〜京都帰るまでの間、

つまり2010年頃から2015年頃にアクションを起こそうとしていた人達は

概ねなんらかの行動を起こして一区切りついた。

これはすなわち地域(特に田舎暮らし方面)移住ブームみたいな

現象だったと思うのですが、ここ1〜2年は動きも穏やかになってますよね。

移住して落ち着いてその地場に根を張って事業を続ける方が増えたり、

所帯をもって社交場に行きづらくなったりということで、

動きが落ちついてみえるようになったと理解しています。

 

一方で時代は進んで、新たな世代が社会人生活を一定期間経験して

モヤモヤゾーンに突入したり、あるいは働き方を変えたいと思う人がまた

表出してきた。

そんな空気の中でまた違う切り口で人の移動が始まりそうな雰囲気を感じます。

それが「地方都市」移住な感じがします。

その足がかりになるのが跡継ぎ、事業承継なんだろうなと思います。

跡継ぎは何も親子だけじゃなく、

最近はリノベーション事業承継(©奥村聡さん)ということばも

出てきていますので、第3者継業も含め、ですね。

www.office-okumura.jp

 

東京暮らしに疲れて悩んでいる若い人が次にどこに目を向けるのか。

田舎暮らしはハードル高いし、もうだいぶやり切られている感じがある。

そもそも20代はfacebook見てないからもはや田舎暮らしの情報も

届いていないかもしれない。

それより地元に戻って自分なりの暮らしを作り上げたい。

地元で徒党を組んでみんな楽しいことやってインスタストーリーで

ワイワイ楽しくやりたい(これすら古いか…)

ただ、一から起業する根性はない(僕のことです)

そんな感覚の人には跡継ぎは選択肢としてありありで、

そういう世の中に変わっていったほうが良いのかなと。

 

昨日30人も集まったのはそういう時代になった証拠なんだと思います。

これから多分地域おこし協力隊みたいな感じで、

国から補助金つくような事業が生まれるニオイもします。

僕、昔から実家おこし協力隊って言ってるんでその暁には補助金ください。

まあ常に面白そうな波に乗っていたいので、

跡継ぎ界隈が面白いと言われる空気を作っていきたいなと、

雨で市場も休みなのでそんなことを考えていました。

 

そういう意味でセガレ・セガール復活は大いに意義があるなぁ。

盛り上がると良いなぁ。

若さへの嫉妬

僕が20代の時に30代だった人がどう思っていたかはわからないし、

僕は平々凡々とサラリーマン的20代を過ごすしか無かったので、

どうとも思われていない存在でしたが、

京都に帰ってきてから沢山の20代の人に会うようになって、

さらに最近その頻度が増えてきて、

今はすごい20代の人が多くて、とても嫉妬する毎日です。

僕という人間は嫉妬心の塊で、

常々誰かに嫉妬していて、

自分にできないことをされると羨ましいし悔しいしむかつくなぁと思うんですけど、

その対象が前は地域のスーパースター軍団だったのに、

最近は20代の若者に向いている。

ないものねだり。隣の芝生は青い。

子育てに追われるとついつい若さを求めてしまう。

若いうちにチャレンジできるっていいなぁ。

それで、日本の未来は明るいじゃないか、と思ったのでなんとなく書きました。

 

埋まらない父親との溝

セガレ・セガール復活!とは威勢よく言ってみたものの、

跡継ぎの当事者となった自分は一向に父親とうまく言っていない。

ネガティブなことを書くと一定の人からお叱りを頂戴しますが、

それでも世の中に数多いるであろう、

同じ跡継ぎで悩み葛藤する人の共感、愚痴の捌け口になればと思って

書いてみる。

正直って商売の方はかなり軌道に乗ってきた。

注文も増えてきた。

そして、注文が増えれば増えるほど父親はキレる。

窓口が2つあるとややこしいので、市場への発注は父親が担当している。

少しでも複雑な注文があるとキレる。

例えば果物を熟させておきたいので、3日後にこれをというだけでキレる。

明日分とこんがらがるからキレる。猿だ。申年だ。

メモを取ることを知らない。

記憶という行為を知らない。

 

今日は店を開けてから2年半使っている洗剤の容器と

霧吹き用のスプレーを間違えて切れた。

2年前に言って欲しい。

 

客がほしいと言っているものを売らずに、

自分が売りたいものを売る。そして俺はクレームを受ける。

自分は良いと思ったものが全て。人の意見は知らない。昭和の世界だ。

人の意見を聞かないのではなく、他人に意見があることを知らない。

大変なことだ。

こうなる理由の一つは、彼らは金に困っていないということもあるだろう。

もう自分が死ぬまでの部分は稼いだし。

 

親子で仕事をするというのは本当に大変なことだ。

親にとって自分の息子はいつまでもこどもなのだろう。

今日はいちごを冷蔵庫に入れておけということを3回言われた。

僕もなるべく寄り添おうとは思うが、向こうにその気持ちが無いので難しい。

いまだに八百屋を止めてほしいと思っていることだろう。

死ぬまで分かり合うことはないし、

死なないと問題は解決しないと思う。

 

それでも僕は近藤家を守るために八百屋を続けようと思っている。

それが自分の使命であり、自分にしかできないことだから。

 

多くの跡継ぎの人が同じことで悩んでいると思う。

父親とうまく事業をしている例はほとんど聞いたことが無い。

できることはみんなであるある〜と共感しながら酒を呑むことだけか。

おかんは応援してくれるのにね〜とかマザコン全開させながら。

あるある〜って言ってくれる人、絶賛大募集!