近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

台風被害から八百屋が思うこと

台風19号による被災から一週間が過ぎて、ようやく被害の状況も伝わってきました。

被災直後は被害が広範囲に渡っているので何が起こっているのか分かりませんでしたが、SNSから知人の農家さんの目を覆いたくなる画像が届いたりして本格的な農業被害が明らかになってきました。

畑が流された、出荷用に梱包していた商品が泥に塗れた、果実の落下などなど。

さっそくヤフーニュースでも野菜高騰のニュースがトピックスに出てきちゃって最悪だと思っていました。

headlines.yahoo.co.jp

最悪っていうのはつまり、消費減退を煽るニュースが最悪ということです。

 

SNSで農家さんの被害状況の報告が流れると必ず商品にならなくても買います!と威勢よく飛びつく方がいますが、まずもって被災直後の農家さんが出荷作業なんてできるわけがないので控えるべきで、本当に大切なことはずっと買い続けるということのはずです。

しばらくその応援したい農家さんの野菜が買えないのであれば、その農家さんの地域の野菜で通常出荷されているものを買うとか、ポケマルなどで近隣の農家さんの作物を買うとか、いつもどおりの消費をいつもどおり行うことがなにより大切だと思います。僕もまだ被災された農家さんへのアプローチは行っていません。遠方の僕にできることはなく、今は復興に向けて取り組まれているところを陰ながら応援することが大切だと考えています。

 

市場相場は今の所台風の影響で顕著に上がっているということは無いのですが、これからじわじわ影響は出てくるでしょう。特にいま作付けしていて、これからの冬から春にかけての野菜果物が収量が足りず値上がりするような気がします。一昨年、白菜一玉1000円になってたときみたいにどうなるかわかりません。さすがに1玉1,000円の白菜を買えとはいいませんが、キャベツが200円から300円になったくらいで買うのをやめていたら農業の復興支援なんて叶うわけがありません。僕は野菜を作っておらず、ただ売っているだけですがわかるんです。続けて買ってもらうことが一番うれしいんです。困った時にワンポイントで買ってもらうのももちろん嬉しいのですが一番嬉しいのは継続してお金を使ってもらうことです。

こういうときって復興支援の気持ちは昂ぶりますが、野菜、果物は毎日食べるものであり、毎日農家さんが収穫して出荷されるものです。被災されたのはSNSをがんばっている農家さんだけではないし、イベント的な消費だけではなく日々の営みの中の消費が一番効果があるはずなので、相場が上がっても野菜、果物を買う、被災された農家さんについては然るべきタイミングで然るべき消費活動で支援するということを心がけたいなと思った次第です。

八百屋のポジショントークでした。

ものすごい困難に直面されている農家さんもいらっしゃいます。心折れることもあると思いますが、どうか明るい未来にたどり着かれることを祈っています。

 

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