近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

エネルギー貯金

今朝facebookを眺めていたらとても素敵な言葉に出会った。

事業が一周回って落ち着いてきて、もちろん起業した大義を忘れたわけではなく日々の業務は一生懸命やっているが、目の前の大きな目標が無くモチベーションが高まらない、

という悩みに対して、

そんなもん人生毎日毎日目標に向かって走り続けたらしんどいに決まってる。いつか必ずやらなければならない日が来るのだから、その時までは淡々と一つ一つを積み重ねていけば良い。その蓄積が来たるべきときに立ち向かうエネルギーになるのだから。

という回答をもらったという内容でした。(あ、ちょっと誇張しました。)

ちょうど僕もがむしゃらにいろいろ動き回って、一旦落ち着いてしまったタイミングだったので大変感銘を受けました。その方の悩みに対して100点の回答だな、と。

 

目標とはなにか、みたいなヴィジョン経営論的なことに学生時代は没頭していました。

折しも先週とある人材コンサル企業の方から、事業を進めるにあたって自社のビジョンはお持ちでしょうか、みたいな質問を受けました。

家族でやっているしミッションステートメントみたいなもんはこさえておりません。

(親とコミュニケーションを取るためにもあったほうがいいみたいなことを言われたことがありますが、あったほうがいい家族と無いほうが良い家族があります。家族で仕事をするというのはそれだけ繊細なことです。)

家族でやってるとはいえ、実態はほぼ僕が好きに生きるための何かなので、個人で仕事をしている段階では強烈なビジョンを掲げてミッションを積み上げていくよりも、常に社会に対して目を光らせて自分の使命を感じたところを見つけたらそこに突き進むゲリラ戦のほうが今の段階では良いのかなと思ってやっています。他人とチームを組んで事業を進めるならもちろんあったほうがいいですけど、4年やってもまだまだ個人戦ですね。(というか、個人事業主にビジョンはありますか?ってなかなか不躾な質問ですよね。それ、お前の人生にビジョンはありますか?っていう意味やからね。)

 

となるとやはりゲリラ戦は続かないので、社会に対して自分の使命を感じないときは然るべきときに備えて力を蓄えるのが正しいのだなと改めて感じたというところです。ありがたい気づきでした。気分は100人将くらいのときの飛信隊です。王騎に谷から突き落とされて修行に行ったときくらい。

周りはどんどん事業を大きくしたり、メディアに出たり、活躍しているけど、みんな来たるべき時にチャンスを逃さず貯めに貯めたエネルギー全開放で突き抜けた結果だろう。

エネルギー貯金もたまには必要なのかもしれない。

 

エネルギーってエナジーって言ったほうがいいのかな。

10月はマコモダケをたくさん買ってください。

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みんな同窓会の幹事やりましょう

先日、高校(厳密には中高大一貫なのでもうちょい幅広いけど)の同窓会をしました。

生徒会長だったので幹事をやりました。それ自体はいつものことで、会自体も楽しくて久々の再会やからみんな緊張気味に来たんですが大盛り上がりで、利害関係のない青春時代の友達はいいなと何回も噛みしめる一日でした。

信頼できる友達と幹事を組んで当日まで祭りの準備をする行為は青春時代そのもので、最高の時間を最高の仲間と過ごすことができて感謝をしています。

それはそうと、35歳のこのタイミングで同窓会をして感じたことがあるので記事を書きました。伝えたいことは、社会課題、ソーシャルイシューに関わる皆さん、是非同窓会の幹事をやりましょう、ということです。

 

1)意外とみんな見てる。

定期的にFacebookを見てる人はもはやほとんどいないと思いますが、意外とみんなたまーに見てるということがわかりました。自分でいうのもなんですが地元カンパニーに入ってからSNSがんばってそこそこつながりの多い情報発信量の多い人、と思われるようにがんばってきましたが、同級生まで意外と届いてます。

「近藤八百屋がんばってるな!」という声ももらえて嬉しかったのですが、それ以上に「跡継ぎの記事読んで触発された」「フードロスの記事読んで考えさせられた」と、ワイワイ騒いでいるところを抜け出してわざわざ声をかけてくれる友達が何人かいて35歳にもなるとみんなの意識もこちらに傾いてくるのか…と驚きがありました。

「地元カンパニーは今どうなってるの?」と聞いてくる友達もいたりして、びっくりしました。

ふわっとした興味を持っている友達に、ダイレクトでソーシャルグッドの価値を伝える絶好の機会でした。

 

2)ものすごく興味ある人が数人いる

項を二つに分けたのに似たようなことを書きますが、上記のふわっとした興味ではなく、積極的な興味を示す人が2人いました。100人いて2人です。なかなかのコンバージョンだと思います。

とにかく驚きでした。「近藤、お前今面白いことやってるらしいな、教えてくれ」と、ガチで聞かれました。正直同窓会の場で地域活性化業界並びソーシャル界隈の話を持ち出すとは考えていなかったので慌てました。話すと長いし、どの分野に興味があるからしっかり聴かないとミスマッチでつまらないことになっても良くないし。

35歳にもなると、仕事自体はかなり余裕が生まれ、こどもがいるとそちらに手を取られますが、こどもがおらず仕事に自己実現が見出せないとやはり社会貢献に意義を見出したくなるのだと思います。実際京都に帰ってきてからイベント事でそういう方とよくお会いしますが(世代問わず地域と関わろうとする大人が多いことが京都の良いところだとつくづく思います。)

3)同級生から派生した人脈は強い

今回幹事を請け負ってくれたうちの一人は、高校時代は程よい友達関係という程度で特に一緒に遊びに行ったことがあるような仲ではなかったのですが、本人が実家の事業承継を考えていたタイミングで僕がユルイ事業承継の支援活動的なことをやっているのを知って、一緒に活動に参加するようになって、そこから僕がつながっていない同級生のネットワークをグンと広げてくれました。その流れで同級生の幹事も引き受けてくれて一気に仲良くなってうれしい限りです。(やまさんありがとう!)

いわゆるソーシャルグッド的な活動の初動の難しさは仲間をどのように広げるのかというところにあると思いますが、同級生というところに目を向けると「意外といる」ということがよくわかりました。そして、もともと顔が知れているので広がるが強く速いです。

 

 

ということで、同級生の幹事、いいです。時間をとって前にしゃしゃり出て自慢話をすると引かれて終わりなので、そういうプロモーションの仕方はやめたほうがいいと思いますが、日々がんばって情報発信をしていれば見ている人は見ているし、自然に近寄ってくれます。自分たちがいいなと思う社会づくりに、同級生という近いコミュニティから仲間を探すのはかなりありだと感じたので書きました。

あと、単純にめちゃくちゃ楽しい、同窓会。幹事は大変ですけどね。ありがとうございました。

 

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食品ロス削減推進法可決ニュースのコメント欄について

ヤフーニュースのトップに、食品ロス削減推進法可決のニュースが来てました。

headlines.yahoo.co.jp

具体的にどうなるのかというと、国が責任持って方針決めるので、自治体さん企業さん具体的な実行策よろしくね、ということのようですが、そもそも国が全会一致でこの問題に本腰を入れたということの意義がとてつもなく大きいというのが、専門家の方の見解ですね。

ところで、このブログを書こうと思った理由ですが、ヤフコメにげんなりしたからです。

興味がある方は見に行ってください。論調的に、どうして食べられるものを廃棄するのかわからない。廃棄するくらいなら半額、いやもっと割り引いてでも売り切るべきだという流れです。

それですべてのフードロスの問題が解決するのであればすべての事業者がそうしているのだろうと思います。しかし現実はそうではありません。小売店の現場で売られているすべての商品は仕入原価がかかっています。商売をしているすべての人はお金儲けをしたいと思っているわけですから、仕入れ原価よりも高く売りたいのです。

しかしいつ誰が買いに来るかわからない小売商売をしていて需要と供給の量を完全にバランスさせることは不可能なので、どうしても在庫を抱えることになります。これが雑貨のように腐らないものであればある程度コントロールも可能ですが、生鮮品はとにかく腐敗との勝負ですので、腐る前に売るか、腐らせて捨てるかしかないわけです。

それで、どうせ捨てるくらいなら安くして少しでも金に変えてしまおうというのが、見切り品、おつとめ品の考え方です。仕事帰りに夜間のスーパーの惣菜コーナーを狙っている人も多くいらっしゃると思います。僕も一人暮らししているころは狙ってました。

これをもっとどんどんやればいいじゃんというのが素人考えですが、これをもっとどんどんやってしまうとどうなるか。

 

【見切り品、おつとめ品のメリット】

・食品廃棄を減らせる。

・廃棄処分予定の商品が少しでも現金化できる。

【見切り品、おつとめ品のデメリット】

・安売り商品だけを買いに来る顧客が増える。

 ⇒赤字商品だけが売れるようになり、利益が上がらなくなる。

・安い粗悪品を売っている店という悪いブランドイメージが定着する。

 

短期的な視点ではメリットの方が大きいのですが、長期的な視点ではデメリットの方が大きく、あんまりやりすぎて店のイメージが悪くなることの方を嫌う経営者は多いでしょう。

それだったらある程度廃棄する分も見込んで利益をつけて、売れ残りは廃棄するという考え方になるのは八百屋視点でも極自然な流れです。

以前もブログに書いたことがあるのですが、一時キャベツ余りの時期に一玉50円で売っていたところ、そのキャベツばかりを買う客が現れました。最初は気前よく売っていたのですが、毎日毎日

「50円のキャベツありますか?」と言われ続けて辟易としました。そしてなくなったらその客は店に来なくなりました。

うちとしては、その客に対しては赤字でキャベツを売っただけで僕の労働力はマイナス計算ということです。こんなことが続けば、安売りするより捨てたほうがマシと思うのは当然です。

識者の方がコメントされていますが、販売側が廃棄削減の努力をすることはもちろんのことですが、とにかく消費者側の意識が変わらないことには根本解決への道のりは程遠いというのが零細八百屋視点の見解です。

スーパーでも賞味期限の近いものから買う、見切り品の野菜も使えそうなものは買う、など積極的な消費行動が根本解決への一番の近道なのでは無いでしょうか。

 

※追記

キャベツの話は、見切り品の野菜を買わないでという意味では無いです。むしろ積極的に買ってもらう方がうれしいです。要はその人の食べ物やお店に対する意識の問題です。伝わりますでしょうか。