近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

なぜ規格外野菜は販売されないのか〜見切り品販売の恐怖〜

台風一過で、秋映えの空、ともいかず曇ってて寒いですね。

今回の台風の残した影響は大きく、

ネット上では生産者の皆様から被害の報告が数多く上がっており、

売ることしか能がない八百屋としては心を痛めることしかできず、

どうにか被害が最小限でとどまってほしいと願うばかりです。

また、飲食店さんからの注文も少なく、

このところの天候不順で外食産業にも大きな影響があったのではないかと

推察いたします。ここから年末商戦まで天候が回復し

穏やかに季節が過ぎていくことを願うばかりです。

市場の方でも相場が異常事態となっており、

キュウリ一本120円、ほうれん草1束500円、サニーレタス一個450円と

まともに買いものするとフランス料理でも食べられそうな価格になっています。

(これ、セリの値段ですから、売値はここからさらに上がりますからね)

さて、最近はもっぱら廃棄野菜の人として、

フードロス対策、食の循環づくりをがんばろうと思っているんですが、

先日こんな怖い思いをしました。

 

私も商売ですので、オススメ野菜、果物はWEB上でガンガンアップさせて

頂いておりますが、もちろん傷んできた野菜や廃棄前の野菜は、

捨てるより売るほうがいいのでこっそり安値で販売させて頂いております。

ただ、この情報は大々的には出しません。

 

先日キャベツを一玉50円で店頭販売しました。

古くなってきたので在庫を入れ替えるためです。

見た目は普通のキャベツです。

たまたまこれを買って行かれたお客さまがいらっしゃいました。

1週間後、非常にそのキャベツがとてもおいしかったということで、

また無いかと言われて、ここ2〜3週間はキャベツの入荷が多く

相場が安い時期でしたので、大玉150円で売っているものを案内しましたが

購入されませんでした。

その翌週も相場変わりませんでしたので、同じ値段で購入されませんでしたが

購入されませんでした。

書き忘れましたが、ここ一ヶ月はずっと滋賀県産のJAグリーン近江のキャベツを

扱っています。

味にそう違いはないと思います。

 

これです。キャベツ一玉150円です。

高いとは思いません。安いと思います。

つくり手のことを思うとせめて250円くらいでは売った方が

いいんじゃないかとすら思います。

大玉です。一玉100円位はつくり手の口座に入金されるべきではないかとは思います。

まあでも、150円です。

買ってもらえませんでした。50円のキャベツに味をしめたからです。

ちょっとぞっとしました。

これが、世の中で規格外野菜が(あんまり)手に入らない理由です。

このお客さま、それから当店にはいらっしゃいません。

 

傷んでいる野菜を買ってもらうのはとても助かりますが、

傷んでいない野菜を買ってもらうことが一番助かるということは、

八百屋も農家も一緒だと思います。

一番嬉しいのは、傷んでいる野菜も傷んでいない野菜も

いつでも買ってもらうことですね。当たり前ですが笑

特に畑ではちょっと傷がいったとかそんなものは

山のようにあると思います。

野菜は見た目で値段がつきますので、傷が多い場合は出荷せずに廃棄されるものも

相当あるでしょう。

でも、多くの農家さんはそれをは売りません。

正規の価格で買ってもらえなくなるから。

いわゆる値崩れですね。

 

しかし50円のキャベツしか買えない経済事情もあると思います。

そんな世の中になってしまっているのだと思います。

正しいこととは何なのか、難しいです。