近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

フードロスおじさんコラム 

食品ロス削減(フードロス削減)の活動はやっぱり流行り、ブームでしたね。コロナ禍にやることがなかった学生活動の落とし所だったんですかね?というくらいには、アクションもリアクションも伝わりません。SDGs的なこと全てに言えることは一発逆転の特効薬はなくて、地道に地道に泥臭く泥臭く積み重ね積み重ねの毎日でしか無いのですが、僕はやっぱり人間にはこういうことは向いてないと思うんですよね。古いものはとっとと捨てて新しいものを創っていくことが社会的価値が高い行いとされるのが世の常ですよ。古いものに囚われている以上は前に進めないんです。特に食品ロス削減の活動というのは一見して「ただ食べ物を安売りしてるだけじゃね?」というふうにしかならないので、目に見えないものを継続的に見えるようにすることの難しさを痛感しています。
 そんな中先日マガザンさんと打ち合わせをしたのですが、CORNERMIXだけでも1年間で600kgくらいの行き場がない野菜果物のレスキューが実現できたとの報告を受けました。軒下青果店も同じくらいの数字だったので、西喜商店とマガザンさんだけで1トン以上の廃棄をなくしたことになります。国内の食料廃棄の数から見たら誤差でしかありませんが、京都の小規模事業者二件の取組だけでも黙々と活動を続けるだけでこれくらいの成果が出るのです。この誤差に胸を張ることができる人間であり続けたい。僕は学生時代に打ち上げ花火のお祭りもやりましたが、今でも一番影響を受けた活動は田んぼの泥に塗れた限界集落の支援活動だと自負しています。この世界の経済を動かすのは新しい物を生み出す大きな集団に変わりはありませんし優秀な人ほどそちらに目を向けて世界の安定を保ってもらいたいですが、持続可能な未来を支える地道な活動があるからこそ保たれている均衡もあるわけで、本来人間に向いていない奇特な活動にも感性が騒ぐ一厘一毛の人とまた出会いたいなと思います。