近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

八百屋を初めて2年が経ちました。

一応、2015年の8月22日に西喜商店の

小売業を再開させたということで、

この日を継業記念日と定め、2年が経ちました。

だいたいこういうことを言うと、

まだ2年?もっとやってそう、と良く言われますが、

地元カンパニーに転職したときから地続きで今日まで

来たと思っていますので、

そういう意味では個人的には4年ちょっとやってきたという感覚です。

自由な働き方になって4年、という感じですね。

 

自由な働き方、というのはつまりセガという大きな会社を辞めて

組織の歯車として働くのでは無く、

その場その場で自分の意思、判断、決断、責任で行動する働き方、

という感じですかね。

地元カンパニーももちろん株式会社ですから、

会社のために働いていたのですが、

自分の意志を大きく尊重してもらっていたように思います。

 

ただ、八百屋業としては2年ですから、

あくまで転職2年目。

転職された方はわかってもらえると思いますが、

ようやく地に足ついてきた程度で、

自分の中でまだまだ感が強いです。

それでも半ば勢いで八百屋をやるぞと威勢よく

京都に帰ってきて、2年続けられてよかったと、

ホッとしているところではあります。

90年続いてる八百屋を潰すのはもったいない、

続けることは尊いこと、価値が有ること、

継続は力なり、

自分にしかできないこと、

衝動、生きている感覚が欲しいから、

そういう精神性先行でやって、

でも2年続いて、今日も明日も続けられそうでよかった、

そんな感じです。

 

 

情報発信というのはいい事書くときのほうが多いし、

いい感じに見えるかもしれませんが、

実態は父親とはうまくいかないし、

子育てしながらだと自制することも多いし、

奥さんと母親には迷惑かけることが多いし、

なかなかうまくいきません。

それでも応援してくれる家族のためにがんばるぞ、

応援してくれるみんなのためにがんばるぞ、

野菜、果物を買ってくれるお客さまのためにがんばるぞ、

野菜、果物を納めてくれるつくり手さんのためにがんばるぞ、

そうやって自分を奮い立たせて、

誰かのために今日も僕はがんばりたいと自分を奮い立たせています。

 

特に何かが変わるわけではないのですが、

自分自身の思いの記録として書きました。

 

それでも継業は、起業よりやりやすし、

東京でふんづまっているひとがいて、

もし跡継ぎできる環境があるなら、

人生の一個の選択肢にしてほしいなと思います。

お金のこととかありますが、

幸福感は得やすいです。

そんなことはこれからも伝えていきたいですね。

どうぞこれからもよろしくお願いします。

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職業に貴賎なし

八百屋という仕事をしていると

割りと頻繁に見下されることがあります。

 

パターンとしては、

店舗にいらっしゃる女性のお客さまですね。

これは年齢問わずです。

一段上の目線からタメ口でお話をされてきます。

近所の高齢のおばあちゃんが孫に話しかけるようなタメ口とは

違う類のものです。

「一見」職歴が浅そうな方が多いですが、

これは私の偏見です。

でもなぜか男性の方からのそれは少ないです。

タメ口の場合でも、それは上司から部下のタメ口のような感じです。

つまり一回りは上の人からのみで、同世代でタメ口を使う方はいらっしゃらないです。

 

 

もう一つは大型店への納品の際、

恐らく非正規雇用のスタッフの方からぞんざいに扱われるパターンです。

俺はお前のことを知らないからその辺置いとけ、的な対応のやつですね。

この場合、オーナーさんや店長さんからこういうことをされることは一切ないです。

むしろこんな吹けば飛ぶ仕事をしている人間にも丁重な対応をされる方ばかりです。

 

別に媚びへつらってほしいということではないですが

(いや、本当は媚びへつらってほしいですが)

八百屋だから偉いわけでもないし、会社の社長だから偉いわけでもないし、

職業を見て態度を変えるというのは人としてはどうかなといつも思います。

八百屋のくせに、とかラーメン屋のくせに、みたいな言葉と

医者のくせに、フレンチのシェフのくせに、という言葉に

違いはあるのでしょうか。

◯◯のくせに生意気な、

という考え方はドラえもんの世界でとどめておくべきではないでしょうか。

まあ、やっぱ教育とか社会経験なんでしょう。

 

そうか、肉体労働者、ブルーカラーの人を下に見ているのかと、

ここに来て気が付きました。

スーツ着て八百屋しようかな。

 

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だれにお金を払いますか?

夏野菜は安いんですよ。

もちろん。

なすもきゅうりもトマトも市場に入荷するものは安い。

今が旬ですから。

 

昨日お客さまがいらっしゃいまして、

土生姜をうちの近所の八百屋さんで買おうと思ったら

とても高い値段で売っていたので、

人を馬鹿にしていると思って買うのを止めて

うちに来たとおっしゃいました。

確かにうちには安い土生姜があります。

 

しかし今、八百屋さんがまともに高知県産の上等の土生姜を仕入れたら

100g200円近くで売る必要があるはずです。

いわゆる土生姜の時期はこれからですから。

八百屋さんも仕入れ値に3割位利益乗せて、

さらに消費税乗せたらそれくらいになるはずです。

 

これはどうですかね。

人を馬鹿にしていることでしょうか。

その場は適当に、それはしょうがないですね〜と流しましたが、

生産地で労働している人から野菜や果物を仕入れると

それ相応の価格がするものです。

それを広く不特定多数の方に、なるべく良いものをお売りしようと

八百屋ががんばるとそれ相応の価格がするものです。

 

いつもお伺いしますが、

だれにお金を払いますか?

お金を払うことは経済をどう取り回していくかの意思表示ですね。

野菜や果物、食費は家計の中で一番削り安い部分ですが、

最終的にツケが回ってくるのは消費者の皆様だということを

お忘れにならないように。

価値のあるつくり手さんにお金が回る仕組みをつくることが、

今一番大事なことですから。

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