近藤貴馬(西喜商店 四代目)のブログ

京都の老舗青果店、西喜商店の四代目。㈱セガにて6年間営業職を務めた後、㈱地元カンパニーに入社。「地元のギフト」事業の全国展開を担当。営業のみにとどまらず地域に関わる様々な業務をこなし、2015年に京都にUターン。現在はリノベした京町家に住みながら、西喜商店の事業拡大に取り組む。

消費者は気づかない。「見た目の価格」と内容量について。

こちらの記事を読みました。

ポテトチップスの量が減っていつも悲しい思いをしています。

それはさておき、原価が高騰したら売価を上げるしかないので、

グラム単価が上がった結果内容量が減るのは当然ですね。

「見た目の価格」が上がったら消費者は買わないので、

目に見えないように価格を上げているわけですね。

沢山食べたい人は2つ3つと買って貰えば良いのですから。

 

「見た目の価格」というものは面白いもので、

消費者はほぼ内容量をチェックしないんですよね。

(プロの飲食店の方は別。必ず内容量を確認されます。)

トマトが一個何円か、大根が一本何円かしか見ない。

八百屋的に言うと、野菜や果物の値段は重量で変わることが基本です。

仕入れるときも基本的には重量単価です。

小売業をやってみて、つくづく日本人は「100円」が好きだということを

思い知りました。

なので、一生懸命情報発信しているネット上では見えない店頭で

「見た目の価格」が100円の商品を沢山売り出しています。

量を調節しています。

100円になるように増やしたり減らしたりしています。

たまに「なんでこんな安いの〜」って言われますけど、

量を調節しているからです。あるいはそれが小さいからです。

正直言うと、西喜商店のことを知らないお客さんはこればっかり買います。

正直言うと、かなりゲンナリします。

麻薬みたいなものだと思います。僕にとっても消費者にとっても。

 

この話のカウンターは、家庭で消費できる野菜の量はたかが知れているから、

少ない量の方が売れるのは当然という話ですが、

僕のことを知っている方はわかると思うのですが、

人参一本でもじゃがいも一個でも売っているのでそれは違います。

「見た目の価格」が重要です。

「見た目の価格」=「売れる価格」かなあ。

どんな消費財にもこの「売れる価格」っていうのは

あると思うのですが、

野菜、果物はそれが低すぎるな〜。

まだまだ、野菜も果物もドラえもんのポケットから出てくると

思っている人が多すぎるので、

作っている人がいるから食べることができるからお金を払う必要がある、

ということを説明し続けるしかないですね。

結局いつもの通り嘆いて締めくくってしまいすいません。

食にお金をかけるのは大切だと思うんですが・・・

 

 

なぜ規格外野菜は販売されないのか〜見切り品販売の恐怖〜

台風一過で、秋映えの空、ともいかず曇ってて寒いですね。

今回の台風の残した影響は大きく、

ネット上では生産者の皆様から被害の報告が数多く上がっており、

売ることしか能がない八百屋としては心を痛めることしかできず、

どうにか被害が最小限でとどまってほしいと願うばかりです。

また、飲食店さんからの注文も少なく、

このところの天候不順で外食産業にも大きな影響があったのではないかと

推察いたします。ここから年末商戦まで天候が回復し

穏やかに季節が過ぎていくことを願うばかりです。

市場の方でも相場が異常事態となっており、

キュウリ一本120円、ほうれん草1束500円、サニーレタス一個450円と

まともに買いものするとフランス料理でも食べられそうな価格になっています。

(これ、セリの値段ですから、売値はここからさらに上がりますからね)

さて、最近はもっぱら廃棄野菜の人として、

フードロス対策、食の循環づくりをがんばろうと思っているんですが、

先日こんな怖い思いをしました。

 

私も商売ですので、オススメ野菜、果物はWEB上でガンガンアップさせて

頂いておりますが、もちろん傷んできた野菜や廃棄前の野菜は、

捨てるより売るほうがいいのでこっそり安値で販売させて頂いております。

ただ、この情報は大々的には出しません。

 

先日キャベツを一玉50円で店頭販売しました。

古くなってきたので在庫を入れ替えるためです。

見た目は普通のキャベツです。

たまたまこれを買って行かれたお客さまがいらっしゃいました。

1週間後、非常にそのキャベツがとてもおいしかったということで、

また無いかと言われて、ここ2〜3週間はキャベツの入荷が多く

相場が安い時期でしたので、大玉150円で売っているものを案内しましたが

購入されませんでした。

その翌週も相場変わりませんでしたので、同じ値段で購入されませんでしたが

購入されませんでした。

書き忘れましたが、ここ一ヶ月はずっと滋賀県産のJAグリーン近江のキャベツを

扱っています。

味にそう違いはないと思います。

 

これです。キャベツ一玉150円です。

高いとは思いません。安いと思います。

つくり手のことを思うとせめて250円くらいでは売った方が

いいんじゃないかとすら思います。

大玉です。一玉100円位はつくり手の口座に入金されるべきではないかとは思います。

まあでも、150円です。

買ってもらえませんでした。50円のキャベツに味をしめたからです。

ちょっとぞっとしました。

これが、世の中で規格外野菜が(あんまり)手に入らない理由です。

このお客さま、それから当店にはいらっしゃいません。

 

傷んでいる野菜を買ってもらうのはとても助かりますが、

傷んでいない野菜を買ってもらうことが一番助かるということは、

八百屋も農家も一緒だと思います。

一番嬉しいのは、傷んでいる野菜も傷んでいない野菜も

いつでも買ってもらうことですね。当たり前ですが笑

特に畑ではちょっと傷がいったとかそんなものは

山のようにあると思います。

野菜は見た目で値段がつきますので、傷が多い場合は出荷せずに廃棄されるものも

相当あるでしょう。

でも、多くの農家さんはそれをは売りません。

正規の価格で買ってもらえなくなるから。

いわゆる値崩れですね。

 

しかし50円のキャベツしか買えない経済事情もあると思います。

そんな世の中になってしまっているのだと思います。

正しいこととは何なのか、難しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

和歌山若手果樹農家三銃士巡り

体育の日の休日を使って、

和歌山県に言ってきました。

狙いは去年はるばる当店を訪れてくれた若手農家3人に

会いに行くことです。

一軒目は、有田川町の松坂農園さん。

YN26(とても新しい品種の早生みかん。おいしい。濃い)の

園地を見せてもらいました。

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出会いは京都わかもん会議。

(こうやって、若者同士をつなげて事業につながっているんだから

 とてもいい企画だったということですよね)

京都の大学に行かれていたこともあるかと思いますが、

ものすごく行動力もあって、気が合う、という感じです。

みかんの傷を見分けるためのひみつ道具?を見せてもらいましたが・・・

賢いな〜っていう印象です。

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あと、みかんという果物は誰のためにあるのか、

値段の付け方、本当に食べてもらうべき人は誰なのか、

この辺の話で意気投合。

野菜、果物はお金持ちのためのものではない。

なるべく多くの人の体と心の健康に寄与すべき仕事なのではないか。

この話は長くなるので次へ。

 

 

 

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善兵衛農園の井上さん。

お祭りの準備で忙しいところかけつけてもらいました。

若くして、先祖代々続く田村みかんの生産に携わっておられます。

田村みかん。みかんのトップブランドです。

京都市場にも最も多く入荷する産地の一つであり、

僕も子供の頃から食べ続けているみかんの産地。

立地、土壌、環境、全てにおいてみかんを作るのに最適な土地。

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田村の山の上から見下ろす景色。

恥ずかしながら知らなかったのですが、

田村は地名ではなく、「田」という地区の村で

田村、とのことで・・・勉強になりました。

 

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田村みかんの出荷場。

ここから、全国に田村みかんが出荷されていきます。

 

最後は、和歌山市に戻りまして、

桃、柿が主力の山本農園さん。

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甘い果物がメインですので、

とにかく糖度に対するこだわりがすごい。

理詰めで糖度を上げていく姿勢、話が面白い。

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桃はもう終わってしまいるんで、これからは柿。

僕、実は柿が苦手なのですが、これなら食えるでしょ近藤さん

っていって出してもらったのが太秋柿。(写真のは違います)

柿って言うより梨だから、って言って出してもらって、

もちろん柿なんですけど、甘ったるくないけど甘い、すごい美味しい柿なんです。

これ、来週の目玉にしますので。

 

総じて、産地へのご挨拶、見学はおもしろい。

それはみなさん命かけてモノづくりしてるから

ことばに嘘がなくて魂こもってるからですね。

もちろんそういう農家さんめがけて言っていいるということもありますが!

 

次はどこへ行かせていただこうか。行きたいところはたくさんありますが・・・

 

松坂さん、井上さん、山本さん、お忙しいところご協力頂き

ありがとうございました!

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